安いモノの話

普段何気なく使うAmazon

その倉庫で働き、イギリスの低賃金労働者の生活を赤裸々に綴る

「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した: 潜入・最低賃金労働の現場」

ジェームズ・ブラッドワース著

 

結論としてどうこう言うわけではなく、まず低賃金労働者の現状を世間に伝えること、そして私たちが普段から利用してるサービスの裏側ではどのようなことが起こっているかをなるべくフラットな目線で伝えています。

 

今まで、商品サービスは「安かろう悪かろう」ということが原則であったと思っていたのですが、近年は「安くても良いもの」が増えてきている気がします。そして、その裏側にある世界がこの本で描かれている世界であります。

 

イギリスでは、EUによるヨーロッパ諸国とのつながり、アフリカや東欧などの外国とのつながりが強くなるにつれて、労働や雇用というものが国境を越えた市場原理に曝露しすぎて、労働者にとって良くない状況ができてしまっています。

ただし、これはイギリスやヨーロッパに限らないのです。アメリカとメキシコ、ヨーロッパ諸国と東欧やアフリカ、中東との間にも多かれ少なかれ似たような風潮が見て取れるかと思います。

 

日本も東南アジア諸国とそのような状況になりつつあるような気もします。(もしかしたら、もうなっていると感じている方もいるかもしれません。)

 

ただ、これは国境を開くのが良くないわけではないと、本書の中では簡単に触れられております。

 

わたしがこの本を読み1番強く感じた事は、「安いモノは品質をいじめるから労働者をいじめるに変わったのではないか」ということでした。

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最近は安かろう悪かろうの製品・サービスもありますが、安くても品質の良いモノも沢山あります。

販売価格を下げるための企業努力や効率化は時として働く人を蝕んでいく可能性があり、また安い製品を購入する事は、過酷な労働環境を増やすことにつながってしまうこともあるということであります。

 

ただ、やはり色々なものが安くなることで貴族や豪族のような人でなくとも、多くの人がいろいろなモノを使うことができるようになったという側面もあるのかもしれないなぁとも思います。

 

最後の締めくくりは平凡ですが、バランスが大事なのですかね。