今に見てろ!という気持ちで。
高見 浩 訳
漁師は老いていた。
という書き出しから始まる「超」が何個もつくほど有名なある漁師の闘いの物語である。
簡単な概要は、3ヶ月近く不漁が続いていた漁師、サンチアゴがメキシコ湾へ独りでくり出していき3日にわたる闘いの末、巨大なカジキを仕留める。
最初のサメが襲ってきたのは、それから一時間後のことだった。
という文章から、第二の闘い、獲物をめぐってサメとの闘いが始まる。
緻密で細かい描写や老人らしさを強調している独り言が、サンチアゴの直面する状況や心境を容易に想像させてくれる。
「老人と海」を手に取り読んだきっかけはただ単に海外の名作が読みたい、ということだった。「ティファニーで朝食を」でも「白鯨」でもよかったのだが、本屋さんで1番先に目に飛び込んできたのが「老人と海」であった。(ただし、「ティファニーで朝食を」も「白鯨」も購入して積読ラインナップの仲間入りを果たしている。)
読んでみるとサンチアゴの闘いに引き込まれて、物語を行ったり来たり気になる箇所を何度か読んでみたりとお気に入りの小説のひとつになったのだが、何故これほど引き込まれたのだうか。
サンチアゴの不屈の精神と諦めることを知らず闘うその姿に憧れを抱いたのである。
弱音を吐くことはあっても、絶対に負けない心、粘り強く闘う精神力は私が今一番身につけたいと感じている能力だ。
やりがいがあり、売上のポテンシャルはあるがなかなか芽が出ない部署で仕事をしている。
粘り強く前向きに仕事を進めていく。社内でも協力的なスタッフが少ない部署で仕事を進めていく。そのような状況で心の支えにしたいと思い、何度も読み返している。
いや待て、まだ手はあるぞ
このサンチアゴの台詞を頭の中で反芻しながら、今日も仕事に臨んでいるのである。
ちなみに、
ヘミングウェイは1920年にカナダのトロントに住んでいたそうだ。私もトロントに1年4ヶ月ほど滞在した経験があり、勝手に親近感を持った。